「『しゃかな』『おかあしゃん』…うちの子の発音、このままで大丈夫?」
「お友達は、もうはっきり話しているのに…」
「家庭で何かしてあげられることはないのかな…」

そんなモヤモヤを抱えて、検索からたどり着いた方が多いのかなと思います。

私は 現役の言語聴覚士(ST) として9年、病院や支援センターで3〜5歳のお子さんの相談を受けてきました。親御さんからの相談で一番多いのが、まさに 「発音が気になる」「言葉が遅い」 の2つなんです。

先に結論。 発音は6歳ごろまでかけてゆっくり完成します。焦って練習させるより、「待ち方」を知ることが大事 です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の発達相談や診断に代わるものではありません。気になる場合は、保健センターや言語聴覚士のいる医療機関にご相談ください。

結論|まず「待つ」でいい。でも「待ち方」にコツがある

この記事のポイントは3つです。

  1. 発音(構音)は6歳ごろまでかけて完成する 。今の言い誤りは、発達の途中であることが多い
  2. ただ待つのではなく、 遊びで「お口と息の土台」を育てながら待つ
  3. 言い直しの強制はNG 。さりげなく正しい音を聞かせる

💡 構音(こうおん)って何?:ざっくり言うと 「発音」のこと 。STの世界では、唇や舌を動かして音をつくることを「構音」と呼びます。

「様子を見ましょう」と言われると、放置されたようで不安になりますよね。でも実は、 家庭での何気ない関わり方そのものが、発音の土台づくり になるんです。

その具体的な方法を、順番にお伝えしますね。

発音はいつ完成する?年齢別の目安と「相談ライン」

まず、発音がいつごろ完成するのかを見てみましょう。

発音の年齢別完成目安タイムライン:4歳ごろまでにパ行カ行など・5歳ごろからサ行ラ行・6歳ごろにほぼ完成(個人差あり)

日本の構音発達の研究では、おおむね次の順番で音が完成するとされています(日本小児耳鼻咽喉科学会誌)。

  • 〜4歳ごろ:母音、パ・バ・マ・タ・ダ・カ・ガ・ナ・ハ・ヤ・ワ行
  • 5歳ごろ〜:サ・ザ行、ラ行、ツ
  • 6歳ごろ:ほぼすべての音が完成

→ つまり、 サ行やラ行は「いちばん最後に完成する音」 。3〜4歳で言えなくても、発達の途中と考えるのが標準です。

ただし、 獲得時期には個人差がかなり大きい ことも分かっています。「〇歳ごろ」は、あくまで幅のある目安として見てくださいね。

相談を考えるライン

目安として、私は次のラインをお伝えしています。

  • カ行の誤り:4歳ごろまでは様子見。それ以降も続くなら相談
  • サ行・ラ行の誤り:4歳半〜5歳を過ぎても続くなら相談

また、いま全国に広がりつつある 5歳児健診 でも、ことばの障害の有無が確認項目に含まれています(日本小児科学会)。健診は、 無料で専門家の目が入るチャンス です。

5歳のサ行のくわしいエビデンスは、 5歳でサ行が言えない|構音発達と受診のタイミング で解説しています。

家庭でできる「お口と息を育てる」遊び5選

ここからが本題。家庭でできる遊びを5つ紹介します。

最初に大事なお断りをひとつ。 「吹く遊びをすれば発音が良くなる」と断定はできません 。あくまで 「お口の筋肉と息の土台づくり」 という位置づけで楽しんでくださいね。

家庭でできるお口と息を育てる遊び5選:吹き戻し・シャボン玉・舌の体操・しりとり・絵本の読み聞かせ

① 吹き戻し

お祭りでおなじみの、ピロピロ〜っと伸びるあのおもちゃです。

吹き戻しは、 唇を閉じる力と息のコントロール を同時に使う遊び。8020推進財団でも、お口の機能を育てるトレーニングとして紹介されています(8020推進財団)。

「どこまで伸ばせるかな?」「3秒キープできる?」とゲームにすると盛り上がります。

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② シャボン玉

シャボン玉のいいところは、 弱い息でもふわっと成功体験が得られる こと。

強く吹くと割れてしまうので、自然に「そっと長く吹く」練習になります。息を細く長く出す感覚は、サ行の土台にもつながると言われています。

割れにくいシャボン玉29点セット(液の作り方説明書付き)を楽天で見る(PR) 手で持って吹くタイプが何種類も入っているので、子どもの口の大きさに合うものが見つかります。

③ 舌の体操(あっかんべー遊び)

鏡の前で、親子で一緒にやってみてください。

  • べーっと舌を出す(あっかんべー)
  • 舌で上唇・下唇をぺろぺろなめる
  • 舌先を左右の口角にタッチ

舌を思いどおりに動かす力 は、多くの音の土台になります。「ママのまね、できるかな?」と遊び感覚でどうぞ。

④ しりとり・音遊び

しりとりは、 「ことばが音でできている」と気づく力(音韻意識) を育てる王道の遊びです。

💡 音韻意識(おんいんいしき)って何?:「さ・か・な」のように、 ことばを音のつぶに分けてとらえる力 のこと。発音だけでなく、ひらがなの読み書きの土台にもなると言われています。

「『あ』のつくもの集め」や、手をたたきながら「さ・か・な」と言う遊びもおすすめです。

しりとりカード(ことばあそび・言語発達トレーニング教材)を楽天で見る(PR) 絵カードがあると、まだ語彙が少ない子でもしりとりに参加しやすくなります。

⑤ 絵本の読み聞かせ

絵本の読み聞かせは、 語彙や表現力を育てる効果 が複数の研究で報告されています。

発音そのものの練習というより、 「話したい気持ち」と「ことばの貯金」 を増やす遊びです。選び方のコツは 言葉を伸ばす絵本3選 にまとめています。

しりとりのだいすきなおうさま(絵本)を楽天で見る(PR) しりとり遊びと読み聞かせが一度に楽しめる、ST的にもおすすめの一冊です。

やってはいけないNG対応3つ|祖母の一言が一番つらかった私の話

遊びと同じくらい大事なのが、 「やらないこと」を決める ことです。

NG① 言い直しの強制

「『しゃかな』じゃなくて『さかな』!はい、言ってみて」

これ、いちばんやりがちですが、避けたい対応です。国立特別支援教育総合研究所も、 言い誤りを無理に言い直させない配慮 を挙げています(国立特別支援教育総合研究所)。

→ 言い直しの強制が続くと、 「話すと直される」と感じて、話す意欲が下がってしまう ことがあるからです。

NG② 否定的な反応

「違うでしょ」「なんでちゃんと言えないの」という反応や困った表情も同じです。

子どもにとって一番うれしいのは、 「伝わった!」という手応え 。発音の正しさより先に、気持ちを受け取ってあげてくださいね。

NG③ 周囲のプレッシャーをまともに受ける

実は、わが家の子どもも言葉がゆっくりでした。

STである私は「この子のペースを待とう」と決めていました。それでも一番メンタルにきたのが、 祖母からの「この子、まだ話さないの?」という一言 だったんです。

専門職の私でも、身内の何気ない一言にはすんごい動揺しました。

→ そんなときは、 「個人差が大きいと言われている」「健診でも確認してもらっている」と事実を共有する のがおすすめ。感情で言い返すより、ずっと心がラクになります。

じゃあどうする?おすすめは「リキャスト」

NG対応の代わりにおすすめなのが リキャスト です。

💡 リキャストって何?:子どもの言い誤りを直させず、 大人が正しい音でさりげなく言い返す 方法のこと。「しゃかな!」→「そうだね、 さかな だね」のように返します。

わが家でも、指さしや幼児語が出たら、それを拾って会話するようにしていました。「あっ!(指さし)」→「ワンワンいたね、大きいねえ」という感じです。

直さない。でも、正しい音はたっぷり聞かせる 。これが家庭でできる一番の関わりだと、現場でもお伝えしてきました。

どこに相談すればいい?無料でできる相談の流れ

「遊びながら待ってみたけど、やっぱり気になる」というときの相談先です。

発音が気になったときの相談の流れ:保健センター→耳鼻科→ことばの教室→STのいる小児科・リハ科

ステップ① 保健センター・発達相談(無料)

最初の入り口は、お住まいの自治体の 保健センター がおすすめ。無料で相談でき、地域の専門機関にもつないでもらえます。

3歳児健診や5歳児健診のタイミングで相談するのもOKです。

ステップ② 耳鼻科で「聞こえ」の確認

意外と見落とされがちなのが、 耳の状態 です。

💡 滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)って何?:耳の奥に液体がたまって、 聞こえがこもってしまう 中耳炎。痛みが出にくく気づかれにくいのが特徴で、就学前までに約90%の子が一度はかかる、ありふれた病気と言われています。

聞こえがこもると、音をまねる材料が減ってしまいます。発音やことばが気になるときは、 一度耳鼻科で聞こえをチェック しておくと安心です。

ステップ③ ことばの教室・児童発達支援

地域の ことばの教室児童発達支援 では、遊びを通したことばの支援が受けられます。保健センター経由で案内してもらえることが多いです。

ステップ④ STのいる小児科・リハビリ科

構音の専門評価を受けたいなら、 言語聴覚士(ST)のいる医療機関 へ。日本言語聴覚士協会のサイトに相談窓口の案内があります(日本言語聴覚士協会)。

→ 順番は前後しても大丈夫。 「無料の入り口(保健センター)から始める」 とだけ覚えておけばOKです。

FAQ・まとめ|「遊びながら待つ」が合言葉

Q1:4歳でカ行が「タ行」になります。すぐ受診したほうがいい?

A:カ行は4歳ごろまでに完成することが多い音です。4歳を過ぎても続くようなら、保健センターや5歳児健診で相談してみてくださいね。

Q2:遊びを嫌がってやってくれません

A:無理にやらせるのは逆効果です。5つのうち、 お子さんが食いつくものだけ で十分。「練習」ではなく「遊び」のままにしておくのがコツです。

Q3:発音だけでなく、ことばの数も少ない気がします

A:語彙の少なさや理解の遅れも気になる場合は、発音とは別の視点での確認が必要です。 子どもの言葉が遅いと感じたら?1〜3歳の完全ガイド を参考に、早めに保健センターへ相談を。

まとめ

  • 発音は 6歳ごろまでかけて完成 。サ行・ラ行はいちばん最後発組
  • カ行は4歳ごろ、サ行・ラ行は4歳半〜5歳が 相談を考えるライン
  • 家庭では 吹き戻し・シャボン玉・舌の体操・しりとり・絵本 で土台づくり
  • 言い直しの強制はNG 。リキャストでさりげなく正しい音を聞かせる
  • 祖父母からのプレッシャーには 「個人差が大きい・健診で確認済み」と事実を共有
  • 迷ったら 無料の保健センター から。耳鼻科での聞こえの確認も忘れずに

ことばの土台づくりという意味では、年齢に合った教材で親子の会話のきっかけを増やすのもひとつの方法です。

「うちの子の発音、大丈夫かな」と検索してしまう夜の気持ち、すんごい分かります。私も、わが子のことばが出るのをじっと待っていた親のひとりです。

直さず、遊んで、たっぷり聞かせて待つ 。この記事が、お子さんとの毎日を少しラクにするきっかけになればうれしいです。


【参考にした情報・引用文献】

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療相談や診断に代わるものではありません。発音やことばの発達で気になることがあれば、保健センター・小児科・耳鼻科・言語聴覚士のいる医療機関にご相談ください。

ご質問やご相談があれば、お問い合わせからお気軽にどうぞ。