「2歳になったのに、まだ意味のある言葉がほとんど出ない…」
「ママ友の子はもうおしゃべりしているのに、うちの子だけ?」
「様子見でいいのか、相談に行くべきなのか、判断できない…」
そんな不安を抱え、この記事にたどり着いてくださったのかなと思います。
私は現役言語聴覚士(ST)として 9年間、現場で子どもの言葉の発達 に関わってきました。そして今は、 2児の母 として、自分の子の発達にも向き合っている、ひとりの親でもあります。
このページでは、私が現場で「この子は様子見でOK」「この子は早めに療育に繋ごう」と判断するときに見ていたポイントを、 ご家庭でも使えるチェックリスト にまとめて紹介しますね。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の発達相談や診断に代わるものではありません。気になる症状があれば、必ず小児科や保健センター、専門機関にご相談ください。
結論|まず確認したいのは「3つの土台」
先に結論をお伝えします。
2歳で言葉がまだ出ていないとき、私が現場で まっさきに確認していたのは、単語の数ではなく「3つの土台」 でした。
- 聞こえているか(耳の機能)
- 指さし・共同注意があるか(人とつながる力)
- 模倣があるか(真似する力)
💡 共同注意(きょうどうちゅうい)って何?:子どもが「あ、ワンワン!」と指さしたときに、ママの方を振り向いて「ねえ、見て!」と気持ちを共有しようとする動きのこと。言葉が出る前の、 「人と気持ちを通わせる土台」 だと考えられています。
この3つがそろっていれば、 言葉がゆっくりでも、芽はしっかり育っている と判断することが多かったです。逆に、この土台が弱いと感じたときは、早めに専門家へ繋ぐようにしていました。
「話さない」と「話せない」は別物。 「話す気持ちがあるかどうか」 を見るのが、ST視点でいちばん大事なポイントなんです。
そして、もう少し具体的に「様子見でOKなサイン」と「早めに相談したいサイン」を、私が現場でチェックしていた目線でまとめると、こんな形になります。

このチェックリストの一つひとつを、これからの章でやさしく解説していきますね。
2歳〜2歳半の言葉のめやすと「レイトトーカー」という考え方

まず、 一般的に言われている目安 から。あくまで「ざっくりした参考」として読んでくださいね。
| 年齢 | 言葉の目安 |
|---|---|
| 1歳半ごろ | 意味のある単語が3〜10個ほど |
| 2歳ごろ | 語彙が50〜200語、2語文(「ママ きた」など)が出はじめる |
| 2歳半ごろ | 語彙が200〜300語、2〜3語文がにぎやかに |
| 3歳ごろ | 簡単な会話が成立する |
この目安に届いていなくても、すぐに「障害」ということにはなりません。 個人差はとても大きい からです。
ただ、知っておいてほしい考え方がひとつあります。
レイトトーカーという考え方
💡 レイトトーカーって何?:直訳すると「ゆっくり話しはじめる子」。 2歳ごろに表に出る単語が50語以下、または2語文がほとんど見られない子 を指す言葉です。発達障害ではなく、「言葉の成長がゆっくりな子」を表す呼び方として使われます。
研究では、 レイトトーカーのうち約7〜8割は、就学までに同年代に追いついていく と言われています(田中裕美子ほか『レイトトーカー(LT)の理解と支援』学苑社/日本耳鼻咽喉科学会の関連報告ほか)。
ただし、 残りの2〜3割は、その後も言葉や学習面でサポートが必要になる可能性 が示唆されています
→ つまり、 「2歳で言葉が遅い=障害」ではない一方で、「全員が自然に追いつくから大丈夫」とも言い切れない 、というのが、現時点で分かっていること。
だからこそ、 「様子見でいい子なのか/早めに繋いだほうがいい子なのか」を、家族が判断する目を持つ ことが大事なんです。
「様子見でOKな5つのサイン」|ST視点のチェックリスト
ここからが、この記事の本題。
私が現場で「この子は語彙が少なくても、まずは経過観察でOK」と判断していた 5つのサイン をお伝えします。
すべて当てはまっていれば、 「いま少し言葉がゆっくりでも、土台はしっかり育っている可能性が高い」 と考えていました。
サイン1|指さしで欲しいものを伝えられる
ジュースが飲みたいときに、 「ジュース」と言えなくても、指さしでママに伝えてくる 。これは、 「人に何かを伝えたい」という気持ち がしっかり育っているサインです。
→ 言葉は「伝えたい気持ち」が先、 単語はあとから乗ってくる のが自然な順番。
サイン2|「ちょうだい」「どうぞ」のやりとりが成立する
ママが手を出して「ちょうだい」と言ったら、 おもちゃを渡してくれる 。 逆に、 「どうぞ」と言って渡してくれる 。
このやりとりは、 「相手の気持ちを読み取る力」 の表れです。コミュニケーションの土台が育っている証拠。
サイン3|親の表情・しぐさを真似する
ママが「いただきます」と手を合わせたら、子どもも 真似して手を合わせる 。 ママが笑ったら、 つられて笑う 。
この 「模倣」の力は、言葉を学ぶときの最大のエンジン 。模倣がしっかり出ている子は、言葉も自然と乗ってきやすいです。
サイン4|簡単な指示が通る
「ボール持ってきて」「ゴミ箱にポイして」など、 簡単な指示の意味が分かって動ける 。
これは、 「話す」ことよりも先に育つ「理解する」力(受容言語)が育っている サインです。
💡 受容言語と表出言語って?:「理解する言葉(受容言語)」と「話す言葉(表出言語)」は別の力。 理解する力が先に育って、話す力があとから乗ってくる のが自然な発達です。
サイン5|喃語・宇宙語が活発
意味のある単語じゃなくても、 「うんちゃっちゃ」「ばーばーばー」と、楽しそうにおしゃべりしている 。
これは、 発声・発音の土台が育っている サイン。中身がまだ伴っていなくても、「声を出す楽しさ」が育っているのは大事なステップです。
→ 5つすべて当てはまるなら、 「いったん3〜6ヶ月、家庭で関わりながら様子を見てもOK」 というのが、私の現場感覚でした。
ただし、 5つそろっていても「気になるなら相談していい」 というのが大前提。「相談したらモヤモヤが取れた」という親御さんを、私は何人も見てきました。
「早めに相談したい7つのサイン」|こちらが当てはまるなら
逆に、私が現場で 「これは早めに繋いだほうがいい」と感じていたサイン が7つあります。
ひとつでも強く当てはまるなら、 保健センターやかかりつけ小児科に相談する価値が十分にある 、と思って読んでみてください。
サイン1|名前を呼んでも振り向きが乏しい
「○○ちゃん」と呼ばれて、 背後からの呼びかけに反応が薄い 。 テレビの大きな音には反応するけど、 小さな声には気づきにくい 。
→ まずは 「聞こえ」の確認 が第一歩。耳鼻咽喉科で聴力検査が受けられます。
サイン2|指さしが出ない/共同注意が成立しない(視線が合わない)
欲しいものを 指さしで伝えてこない 。 何かを見つけたとき、 ママの顔を振り返って共有しようとしない 。
→ ここが弱いと、 言葉が乗りにくい 傾向があります。STの評価が役立ちやすい部分です。
サイン3|模倣が極端に少ない
ママの手遊び、表情、動作を 真似する場面がほとんどない 。
→ 模倣は言葉のエンジン。ここが弱いと、言葉だけ後押ししてもなかなか伸びにくいことがあります。
サイン4|簡単な指示がほとんど通らない
「ボール持ってきて」「ゴミ捨てて」のような 単純な指示の意味が伝わらない 。 日常の流れ(お風呂・ごはん・ねんね)も、 言葉だけでは動けない 。
→ 「分かる力」が弱い場合、専門家の評価で背景を整理する価値があります。
サイン5|一度出ていた言葉が消えた
以前は「ママ」「ワンワン」と言っていたのに、 ここ数ヶ月で言葉が減った/消えた 。
→ これは「折れ線型」と呼ばれる発達の特徴を示すことがあり、 専門家の評価を強くおすすめする サインです。早めに小児科や発達外来に相談を。
サイン6|視線が合いにくい・呼びかけ反応が薄い
目を合わせる場面が 明らかに少ない 。 こちらの問いかけに 反応が乏しい 。
→ コミュニケーションの土台に関わる部分なので、 保健センターや発達相談で評価を受ける価値 があります。
サイン7|2歳半で意味のある単語がゼロ
2歳半(30ヶ月)になっても、 「ママ」「ワンワン」など意味のある単語がひとつも出ない 。
→ 大阪小児科医会など複数の医療機関で、 「2歳までに有意味語がない/2歳半で2語文が出ない」場合は受診のめやす とされています。様子見の限度に近づいているサインです。
→ 7つのうち、 2つ以上に当てはまる、または1つでも強く気になる なら、迷わず相談していい段階。「相談=大ごと」ではないので、安心してくださいね。
相談先の選び方|4つの窓口を比較
「じゃあ、どこに相談すればいいの?」というのが、次に出てくる疑問だと思います。
私が現場で見てきた範囲で、 4つの相談先の特徴をまとめた比較表 がこちらです。

| 相談先 | 費用 | 予約のしやすさ | できること | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 保健センター(市区町村) | 無料 | 1〜2ヶ月待ちのことも | 発達相談・心理士の面接・必要時に療育機関へ繋ぐ | まずは公的窓口で相談したい人 |
| かかりつけ小児科 | 保険診療 | 比較的早い | 発達のスクリーニング・紹介状作成 | 「とりあえず先生に話を聞きたい」人 |
| 療育センター/児童発達支援 | 受給者証で1割負担 | 数ヶ月〜半年待ちも | 専門評価・継続支援・STや心理士の関わり | 評価+継続的な支援を受けたい人 |
| 民間ST相談室・自費ST | 1回5,000〜15,000円程度 | 比較的早い(1〜2週間) | 詳しい評価・家庭での関わり方の指導 | 待たずに専門家に診てほしい人 |
保健センター(市区町村)
長所:無料・公的機関なので安心・地域の療育機関に繋いでもらえる。 短所:地域によっては予約待ちが長く、相談から実際の支援開始まで数ヶ月かかることもあります。
→ 最初の窓口として一番のおすすめ 。1歳半健診や3歳児健診の延長で相談できることも多いので、まずは地域の保健センターに電話してみるのが第一歩です。
かかりつけ小児科
長所:予約が取りやすい・体の状態と合わせて見てもらえる・必要時に紹介状を書いてもらえる。 短所:先生によっては「3歳まで様子見ましょう」で終わることもあり、 専門的な評価まではできない場合が多い 。
→ 「いきなり療育や発達外来はハードルが高い」という方には、入り口として◎。
療育センター/児童発達支援
長所:ST・心理士・作業療法士などの 専門評価がセット で受けられる・継続支援が前提なので家庭でのサポートも手厚い。 短所:待ち期間が長い/受給者証の申請に手間がかかる。
→ 「評価して、必要なら継続支援に繋ぎたい」 ご家庭にいちばん合います。
民間ST相談室・自費ST/オンラインST
長所:待たずに専門家の評価を受けられる・家庭での関わり方を具体的に教えてもらえる・オンライン対応の相談室も増えている。 短所:自費(保険適用外)なので、1回5,000〜15,000円程度の費用がかかる。
→ 「保健センターは予約待ちで何ヶ月も先…」という方が、 つなぎとして1〜2回相談する にはとても良い選択肢です。最近はオンラインで全国どこからでも相談できる民間STも増えてきました。
「相談したけど『様子見』と言われた」その後どうする?
実は、 2歳前半で相談すると「もう少し様子を見ましょう」と言われるケース はとても多いです。
そんなとき、私からの提案はこちら。
- 3〜6ヶ月後に再相談する予約だけ取っておく (「次いつ来ればいい?」を必ず聞く)
- その間、家庭での関わり方を変えてみる (次の章で具体的にお伝えします)
- モヤモヤが残るなら、民間STやオンラインSTでセカンドオピニオン を受けるのも◎
「様子見」と言われたまま、何ヶ月も不安だけ抱えているのは、 親の心が疲れてしまう 。私自身、自分の子のことで気になった時期に、これは強く実感しました。
うめあかりの本音|STママとして我が子を見たとき
ここで少しだけ、私自身の話を。
実は、私の下の子も、2歳になった頃 言葉がゆっくりめ でした。 9年間STをやってきた私でも、自分の子のこととなると、 冷静になれない日 が何度もありました。
「指さしは出てる」「やりとりも成立してる」「模倣もある」…と、頭では分かっていても、 ママ友の子の上手なおしゃべりを見ると、心臓がぎゅっとなる 。
そんなときに私が選んだのは、 保健センターの発達相談に行ってみる ことでした。結果、心理士さんに「土台はしっかり育ってますね」と言ってもらえて、 何より自分の不安が軽くなった のを覚えています。
→ 「相談する=大ごと」じゃなくて、「親の心を軽くするための時間」 だと、私は思っています。
家庭でできる関わり方3つ|ST療法の考え方をやさしく

最後に、 ご家庭で今日からできる関わり方 を3つだけお伝えします。
ST現場で使われている療法の考え方を、ふだんの遊びレベルに落とし込んだものです。
関わり方1|パラレルトーク(実況中継)
💡 パラレルトークって何?:子どもがしている行動を、 ママが代わりに言葉にしてあげる こと。「赤いブロック、つんだね」「ワンワン、なでなでしてるね」のように、お子さんの行動を実況中継するイメージです。
ポイントは、 「短く・ゆっくり・繰り返す」 こと。 「赤、つんだね。赤、たかいね。赤、すごいね」と、 キーワードを繰り返す だけで、子どもの中に言葉が貯金されていきます。
関わり方2|セルフトーク(ママ自身の実況中継)
💡 セルフトークって何?:今度は ママ自身がしている行動を、声に出す こと。「お野菜、切ってるよ」「お水、入れるね」のように、 自分の行動を実況 します。
子どもは ママの口の動きと言葉と行動を結びつけて、言葉を覚えていく 。家事をしながらでもできるので、 いちばん取り入れやすい関わり方 です。
関わり方3|選択質問で「えらぶ」体験を増やす
「りんごとバナナ、どっち?」「青と赤、どっち?」のように、 2つから選ばせる質問 をしてみてください。
子どもが指さしで選ぶだけでもOK。 「自分の意思を伝える経験」 が積み重なると、言葉も乗ってきやすくなります。
絵本の選び方も、シンプルに
絵本は「言葉を育てる王道」とよく言われますね。 2歳ごろなら、 ストーリーよりも、指さししやすい絵本 がおすすめ。
- 食べ物・乗り物・動物など 身近な物 が大きく描かれた絵本
- 短いフレーズの 繰り返しがある絵本 (「いない いない ばあ」系)
- 1ページに1つだけ絵がある シンプルな絵本
楽天やAmazonで「2歳 絵本 言葉」で検索すると、月齢に合った絵本がたくさん見つかります。
「絵本を毎日5分」は、慣れるととても続けやすい習慣。 寝る前の 5分だけ 、お子さんの好きな絵本を一緒に見るところから始めてみてくださいね。
もっと入門編から読みたい方へ
「3つのチェックポイントから、もっとやさしく読みたい」という方は、 子どもの言葉が遅いと感じたら?STママが教える3つのチェックポイント もあわせてどうぞ。この記事は、その続編としてさらに深く掘り下げた内容になっています。
まとめ|不安は、早めにシェアしていい
最後に、もう一度だけお伝えしたいこと。
- 2歳で言葉が出ないとき、 見るべきは「言葉の数」より「3つの土台」 (聞こえ・指さし・模倣)
- 5つの「様子見OKサイン」がそろっていれば、家庭で関わりながら数ヶ月見るのもひとつの選択
- 一方、 「相談したい7つのサイン」が当てはまるなら、迷わず保健センター・小児科へ
- 相談先は 保健センター・小児科・療育センター・民間ST の4つを組み合わせて使える
- 家庭では パラレルトーク・セルフトーク・選択質問 が今日から取り入れられる
- そして何より、 「相談する=大ごと」じゃない 。ママの心を軽くするための時間として使ってOK
夜中に「うちの子だけ?」と検索してしまうあの気持ち、すんごい分かります。 私自身、STの資格を持っていても、自分の子のこととなると、何度も不安で眠れない夜がありました。
不安は、 早めにシェアしていい 。 ひとりで抱え込まず、保健センターの保健師さんや、かかりつけの小児科の先生に、 「ちょっと聞いてもらってもいいですか?」 と一言かけてみてください。
それだけで、見える景色が変わることがあります。
このページが、お子さんと向き合うママの心を、少しでも軽くするきっかけになればうれしいです。
【参考にした情報】
- 大阪小児科医会「乳幼児の言葉の遅れQ&A」
- 日本小児神経学会 一般の皆様向けQ&A(言葉の遅れ)
- 神戸大学医学部小児科 森貞直哉「こどもの言葉と発達の見方・促し方」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「言葉の遅れ」
- 田中裕美子ほか『レイトトーカー(LT)の理解と支援』学苑社
- LITALICOジュニア/LITALICO発達ナビ(2026年5月時点で参照)
- 厚生労働省 母子保健関連資料(言葉の発達のめやす)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療相談や診断に代わるものではありません。気になる症状や発達面で不安があれば、必ず小児科・保健センター・療育機関などの専門家にご相談ください。
ご質問やご相談があれば、お問い合わせからお気軽にどうぞ。

