「最近、親の話し方がもごもごしてきた」
「食事のときに、ちょっとむせる回数が増えた気がする」
「自宅でできる、ちゃんとした口のリハビリってないの?」

そんなふうに検索して、この記事にたどり着いた方へ。

私は うめあかり言語聴覚士(ST)9年+現在もリハ特化型デイサービスで勤務中 の現役STです。

今日お伝えしたいのは、 「MTPSSE(エム・ティー・ピー・エス・エス・イー)」 という、西尾正輝先生(新潟医療福祉大学)が考案された 話す・飲み込みのリハビリプログラム のこと。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の医療相談・診断に代わるものではありません。症状が気になる方は、必ず医師・言語聴覚士に相談してください。

【冒頭3行】こんな声に答えます

先に、この記事の結論からお伝えします。

  • MTPSSEは「5秒キープの抵抗運動」が肝。短いけれど、口の筋肉にはちゃんと効く
  • 自宅でも、アイスの棒・スプーン・指で代用してできる
  • 西尾正輝先生(新潟医療福祉大学)考案の、エビデンスを意識した信頼性の高い訓練法

「自己流で口の体操をしているけれど、これでいいのか不安」という方ほど、 やり方を1度ちゃんと知っておくと安心 です。順番にお伝えしていきますね。

MTPSSEとは?正しい綴りは「M-T-P-S-S-E」

MTPSSE基本訓練5種類(口唇・頬・舌前後・舌左右・開口)

まず、 名前の表記から整理 しておきますね。

ネット上では 「MPTSSE」と書いてある記事がちらほら ありますが、 正しい綴りは「MTPSSE」(M-T-P-S-S-E) です。「P」と「T」の順番が逆になっていることが多いので、検索するときは要注意。

正式名称と意味

MTPSSEは、英語で書くと長いので、 頭文字を取った略称 です。

Movement Therapy Program for Speech & Swallowing in the Elderly

日本語にすると 「高齢者の発話と嚥下(えんげ)の運動機能向上プログラム」 となります。

💡 嚥下(えんげ)って?:食べ物や飲み物を、口から喉、食道へと送り込む一連の動きのこと。年齢とともに、この機能が少しずつ落ちて「むせ」や「誤嚥」が増えやすくなります。

開発者は西尾正輝先生(新潟医療福祉大学)

MTPSSEを考案されたのは、 西尾正輝(にしお まさてる)先生

  • 所属:新潟医療福祉大学 医療技術学部 言語聴覚学科
  • 学位:医学博士
  • 役職:日本ディサースリア臨床研究会 会長

💡 ディサースリアって?:脳卒中・パーキンソン病などで、 口や舌、声帯などの動きがうまくいかなくなり、発音が不明瞭になる状態 のこと。日本語では「運動障害性構音障害」と呼びます。

西尾先生は、 約10年の研究を経て このプログラムを体系化されたと、書籍の紹介に記載があります(参考:日本ディサースリア臨床研究会)。

2021年〜学研から出版

MTPSSEは、書籍として段階的に刊行されています。

  • 第1巻:総論(理論・適応)/2021年
  • 第2巻:可動域拡大運動プログラム /2021年
  • 第3巻:レジスタンス(抵抗)運動プログラム /その後刊行

正規の手順をきちんと学びたい方は、 学研の公式書籍 をベースにすることをおすすめします。

参考:

MTPSSEで改善が期待できる症状

「で、これは誰のための訓練なの?」というところを整理しますね。

MTPSSEは、 話す・飲み込むという、口の運動全般 を対象にしているプログラムです。

具体的には、以下のような症状で 改善が期待できる と報告されています。

  • 🧠 脳卒中後の構音障害(呂律が回らない・話しにくい)
  • 🤲 パーキンソン病の構音障害(小さくこもった声・早口になる)
  • 🍚 嚥下障害・むせ(飲み込みのタイミングがずれる・喉に残る)
  • 👴 加齢による口腔機能低下(オーラルフレイル)
  • 💪 唇・舌・頬の筋力低下(食べこぼし・流涎)

💡 オーラルフレイルって?:加齢によって 口の機能(噛む・飲み込む・話す)が少しずつ衰えていく状態 のこと。「最近よくむせる」「滑舌が落ちた」あたりが初期サインといわれています。

「治る」と断言できるものではないですが、 継続することで筋力・口の動きが改善した という臨床報告は複数あります(参考:Effects of lingual strength training on lingual strength and articulator function in stroke patients with dysarthria(PMC))。

「うちの親、当てはまるかも」と思った方は、 まずかかりつけ医や、リハ特化型デイの言語聴覚士に相談 してみてくださいね。

【最重要】なぜ「5秒キープの抵抗運動」が効くのか

ここがMTPSSEの 核となる部分 。少しだけ専門的な話になりますが、できるだけやさしく説明しますね。

キーワードは「等尺性収縮」と「過負荷の原則」

MTPSSEで主に使われるのは、 等尺性収縮(とうしゃくせいしゅうしゅく) という運動の仕方です。

💡 等尺性収縮って?:筋肉の長さは変えずに、 「ぐっと力を込めてキープする」 タイプの収縮のこと。たとえば「壁を全力で押すけど、壁は動かない」ような状態がそれです。

口の中だと、たとえば 「舌を上あごにぐっと押しつけて、5秒間キープする」 がこれにあたります。

さらに、筋トレに共通する 「過負荷の原則」 という考え方も大事。

💡 過負荷の原則って?:筋肉は、 普段以上の負荷をかけて初めて鍛えられる という原則。日常生活の動きだけでは、衰えた筋肉は元に戻りません。

つまり、 「普段使っていない強さで、ぐっと力を入れる」 ことで、口の筋肉も鍛えられる、という発想です。

神経も鍛えられる(神経筋促通)

筋肉だけじゃなく、 神経の働きも一緒に強化される といわれています。

抵抗を加えた運動をすると、 脳から筋肉への信号が強くなる ことが知られています(神経筋促通)。これは、 脳卒中後で「動かしにくくなった口」を、再び動かせるようにする ためにも大事な仕組み。

参考:レジスタンストレーニングの基礎理論(日本ディサースリア臨床研究会/PDF)

「最大筋力の60〜80%」がちょうどいい目安

舌圧訓練の一般的なエビデンスでは、 最大筋力の60〜80%程度の力 で5秒キープするのが推奨されています。

  • 弱すぎる(〜50%)→ 刺激が少なく、筋力アップにつながりにくい
  • 強すぎる(90%以上)→ 疲労が残りやすく、毎日続けるのが大変
  • ちょうどいい(60〜80%) → 続けやすく、効果も期待しやすい

「キープする時間」も、 5秒前後が目安

  • 5秒未満 → 筋肉への刺激が足りない
  • 10秒以上 → 疲労が蓄積して、フォームが崩れやすい
  • 5秒キープ → 集中力も保ちやすく、毎日続けやすい

参考:摂食嚥下における舌の役割と評価・トレーニングの方法(イーエヌ大塚製薬)

MTPSSEの基本訓練5種類

ここからは、 MTPSSEで行う代表的な抵抗運動5種類 を紹介します。

※ 以下は 一般的な抵抗運動の構成例 であり、書籍の正式手順とは細部が異なる場合があります。本格的に取り組みたい方は、書籍または言語聴覚士の指導を受けてくださいね。

① 口唇(くちびる)の抵抗運動

口唇の抵抗運動 イラスト

目的:唇を閉じる力を鍛える。食べこぼし・流涎の改善に。

  1. 上下の唇を ぎゅっと閉じる
  2. 介助者または自分の指で、 唇の左右を引っ張られても閉じ続ける
  3. 5秒キープ × 10回

② 頬の抵抗運動

頬の抵抗運動 イラスト

目的:頬の筋肉を鍛える。食べ物を口の中で送る動きをサポート。

  1. 頬を 大きく膨らませる
  2. 指で頬を 外から押される に対して、膨らみを保つ
  3. 5秒キープ × 左右各10回

③ 舌の前後抵抗

舌の前後抵抗運動 イラスト

目的:舌の前後方向の筋力アップ。発音・嚥下の基本に。

  1. 舌を 前にぐっと突き出す
  2. スプーンや指で、舌を 奥に押し戻す力 を加える
  3. 舌は負けずに 前に押し続ける
  4. 5秒キープ × 10回

④ 舌の左右抵抗

舌の左右抵抗運動 イラスト

目的:舌の側方への動きを鍛える。咀嚼(噛む動き)に効果。

  1. 舌を 左の頬の内側に押し当てる
  2. 外側から頬を 指で押される に対して、舌は負けずに押し続ける
  3. 5秒キープ × 左右各10回

⑤ 開口(口を開ける)の抵抗運動

開口の抵抗運動 イラスト

目的:あごの開閉筋を鍛え、喉頭挙上(飲み込みの動き)を助ける。

  1. 口を 大きく開ける
  2. 介助者があごの下から、 口を閉じる方向に力 を加える
  3. それに負けずに 口を開け続ける
  4. 5秒キープ × 10回

⚠️ 注意:痛みが出たら すぐ中止 してください。顎関節(がくかんせつ)に違和感がある方は、医師・歯科医師に相談してから取り組みましょう。

参考:西広島リハビリテーション病院 舌の筋力向上「舌抵抗訓練」

自宅でできるアレンジ方法

自宅でできる抵抗運動アレンジ(アイスの棒・スプーン・指で代用)

「病院やデイに行かないとできないの?」と思った方、安心してください。 MTPSSEの考え方は、自宅でも十分応用できます

道具の代用アイデア

正式な訓練では 舌圧子(ぜつあつし)・舌圧測定器 などの専用器具を使いますが、家庭にあるもので代用可能です。

  • 🍦 アイスの棒(木製アイスバー・新品の木ベラ)→ 唇や舌の押し戻し抵抗に。形状が安定していて使いやすい
  • 🥄 清潔なスプーン(プラスチック・木製)→ 舌の前後抵抗に
  • 👆 (介助者の指)→ 唇・頬・舌の抵抗に

💡 衛生面の注意:使う前は 必ず手を洗い、道具も清潔に 。スプーンは食事用とは別に分けるのが安心です。介助者の指で口の中に触れる場合は、 使い捨て手袋を使うとより衛生的 です。

1人でもできるバージョン

家族の手を借りられない場合は、 自分の指や口の中の天井(口蓋)を使う バリエーションもあります。

  • 舌を 口蓋にぐっと押し当てて5秒キープ × 10回 (道具なし)
  • 唇を強く閉じて 両手の親指で唇の端を引っ張り、唇は閉じ続ける
  • 頬を膨らませて 自分の指で頬を押し、膨らみを保つ

家族介助のコツ

家族が介助する場合は、以下を意識してみてください。

  • 🪞 鏡の前で実施 (視覚的なフィードバックで本人もやりやすい)
  • 1日2〜3回に分けて 、1回5〜10分程度で
  • 🍽 食前に行う と、唾液分泌も促されて食事もスムーズに
  • 🚫 痛み・不快感が出たら、即中止

「お父さん、もう少し強く押して」など、 声かけしながら一緒にやる だけで、ご本人のモチベーションも上がりやすいです。

参考:JMS舌圧測定器 嚥下リハビリで舌筋力訓練(京都リハビリテーション病院)

エビデンスは?関連研究の紹介

ここは、 フェアな姿勢でお伝えしたい ところ。

MTPSSE全体としての 大規模なRCT(ランダム化比較試験)は、現時点(2026年5月)では確認できていません

💡 RCTって?:薬や治療の効果を確かめる、 もっとも信頼度が高いとされる研究方法 。同じような状態の人を2つのグループに分けて、片方にだけ治療を行い、結果を比較するもの。

ただし、 関連する抵抗運動のエビデンスは複数報告 されています。

関連エビデンス(抜粋)

  • 舌筋力訓練で構音明瞭度・最大舌圧(MIP)が改善  脳卒中後の構音障害患者を対象とした研究で、対照群より有意な改善が報告されています(参考:PMC論文)。
  • 舌レジスタンス訓練で誤嚥減少・肺炎リスク低下 の報告(参考:イーエヌ大塚製薬 口腔ケア情報サイト)。
  • 学術書『実践 ディサースリア・スピーチセラピー』 などで、MTPSSEを含む抵抗運動の臨床応用が扱われています。

「日本初のテキスト化」という意義

西尾先生ご自身も、書籍紹介で 「エビデンスをもとに、日本で初めてテキストとして提供する」 と書かれています。

つまり、MTPSSEは 「これまでバラバラに行われていた口腔・嚥下の抵抗運動を、体系的にまとめた日本独自のプログラム」 という位置づけ。

「絶対に効く」とは言えませんが、 臨床経験と関連エビデンスをもとに、信頼性をもって組まれた訓練法 であることは、知っておくとよいと思います。

参考:

他の口腔訓練との組み合わせ

MTPSSEと他の訓練の組み合わせマップ(パタカラ・シャキア・メンデルソン・LSVT®)

口の訓練は、 「MTPSSEだけやればOK」というものではない 、というのが現役STとしての本音です。

それぞれに 得意な役割 があるので、 組み合わせて使う のが理想。

よく使われる他の訓練法

  • 🎵 パタカラ体操  「パ・タ・カ・ラ」と発音する練習。 口の動きを総合的に整える ベーシックな訓練。
  • 🛏 シャキア訓練(頭部挙上訓練)  仰向けで頭を持ち上げる。 舌骨上筋群(飲み込みの筋肉) を鍛える。
  • 💪 メンデルソン手技  飲み込みのときに 喉ぼとけを意識的に持ち上げ続ける 訓練。
  • 🎤 LSVT®LOUD(エルエスブイティー・ラウド)  パーキンソン病向け。 大きな声を意識的に出す プログラム。

組み合わせのコツ

  • 脳卒中後の方:パタカラ → MTPSSE可動域 → MTPSSE抵抗運動
  • パーキンソン病の方:MTPSSE可動域 → LSVT®LOUD → MTPSSE抵抗運動
  • 予防的に取り組む高齢者:パタカラ → MTPSSE可動域 → ブローイング訓練

「全部やらなきゃ」と思うと続きません。 本人の体力と目的に合わせて、2〜3種類を組み合わせる のがおすすめです。

参考:

関連記事:パタカラ体操だけで嚥下機能は本当に維持できる?現役STが現代エビデンスで検証

やってはいけないこと・注意点

MTPSSEは比較的安全な訓練ですが、 やってはいけないタイミング・状態 があります。

こんな時は中止・延期

  • 痛みが出た時 (顎関節・口内炎・舌の痛み)
  • 顔面神経麻痺の急性期 (医師の指示が必要)
  • 脳卒中急性期で全身状態が不安定 な時
  • 熱がある・体調不良の時
  • 重度の嚥下障害で誤嚥リスクが高い時 (唾液誤嚥に注意)

認知症・指示理解が難しい方

「ぐっと押して」「5秒キープ」の指示が伝わらないと、 正しいフォームで実施できません

無理に進めると、本人のストレスや誤嚥リスクを高めることがあるので、 言語聴覚士・かかりつけ医に相談したうえで、できる範囲から 取り組んでくださいね。

強すぎる抵抗で疲れさせない

「効くなら強くやったほうがいい」と思いがちですが、 強すぎる抵抗は逆効果 になることも。

  • 翌日まで疲労が残る → 続かない
  • フォームが崩れる → 効果が出にくい
  • ご本人がやる気を失う → 最大のデメリット

60〜80%の力で5秒キープ 。これくらいが、 長く続けられて結果も出やすい バランスです。

【現役ST視点】リハ特化型デイで実際にやっている話

ここで、 現役STとして勤務している私の現場感覚 を、少しだけお話させてください。

実は、毎日の中に組み込まれている

私が勤務しているリハ特化型デイサービスでも、 MTPSSE系の抵抗運動は、ほぼ毎日のように利用者さんと一緒にやっています

「MTPSSEです」と名前を出して説明するわけではなくて、 「今日は舌の押しっこ体操やりましょうね」 とお声がけしながら、自然な流れで取り入れる感じ。

よくある利用者さんのパターン(仮名・脚色)

たとえば、 80代女性の方(仮名Aさん) 。脳梗塞の後遺症で、 少し呂律が回りにくく、お茶を飲むときに時々むせる 方。

Aさんとは、半年ほど 舌の前後抵抗・口唇の抵抗・開口の抵抗 を中心に、 5秒キープ×10回を3セット 、週2回のペースで取り組んでいます。

すると、ご家族から 「最近、お母さんの話が聞き取りやすくなった」「お茶でむせる回数が減った」 と言っていただけることがあって。 数値で測れる劇的な改善ではないけれど、ご家族が感じてくれる小さな変化 が、本当にうれしい瞬間です。

1コマ15分の中の組み立て方

リハ特化型デイの個別リハは、 1人あたり15〜20分の枠 が一般的。

その中で、私はだいたい以下のように組み立てています。

  • 最初の3分:ストレッチ・体幹ほぐし(MTPSSE可動域)
  • 次の8分:MTPSSE抵抗運動(5秒キープ×10回 ×2〜3種類)
  • 最後の4分:発話練習・パタカラ・嚥下確認

「短いけれど濃い」時間を、本人と一緒に作っていく感覚。 MTPSSEは、ただやみくもに体操するのとは違って、目的が明確だから組み立てやすい んです。

関連記事:40代から使える?リハビリ目的のデイサービス完全ガイド

よくある質問(FAQ)

Q1. MTPSSEは何歳から始められますか?

MTPSSEはもともと 「高齢者の発話と嚥下の運動機能向上プログラム」 として開発されていますが、 40〜50代の脳卒中後遺症の方 でも適応されることがあります。年齢よりも、 「指示が理解できる」「自分で口を動かす意思がある」 ことのほうが大事。お子さんや認知症で指示理解が難しい方の場合は、 別の訓練法を組み合わせる ことが多いです。

Q2. 毎日どれくらいやればいいですか?

一般的な抵抗運動のプロトコルでは、 1日30回×3セット(計90回)、週3回以上、8週間以上の継続 が目安とされています。ただし、ご本人の疲労度・体力に合わせて、 「短く・毎日続けられる量」 から始めるのが現実的。 1日2〜3種類を5回ずつ、毎日続ける ところから始めて、慣れたら徐々に増やすのがおすすめです。

Q3. 効果はいつごろ出ますか?

個人差が大きいですが、 8〜12週間で口の動きや声の張りに変化が感じられる ケースが多いです。ただし、 「劇的に治る」というよりは「現状維持+少しずつ改善」 がリアルな成果。脳卒中後の方は神経の回復に時間がかかるため、 半年〜1年単位の長期視点 で取り組んでください。やめると元に戻りやすいので、 継続が何より大事 です。

Q4. パタカラ体操だけじゃダメですか?

パタカラ体操は 発音動作を整える のに優れていますが、 筋力を強化する負荷はかかりません 。MTPSSE系の 抵抗運動は、口の「筋トレ」 にあたります。役割が違うので、 両方を組み合わせる のが理想。「パタカラで動きを整え、MTPSSEで筋力を鍛える」というイメージです。詳しくは関連記事のパタカラ体操だけで嚥下機能は本当に維持できる?もご参照ください。

Q5. 道具がなくてもできますか?

はい、 道具なしでも十分に取り組めます 。たとえば「舌を上あごに押し当てて5秒キープ」は道具不要。「自分の指で唇を引っ張りながら閉じる」もできます。 正式な訓練の効果には及ばない可能性はあるけれど、「やらないよりは断然いい」 というのが現役STとしての本音。まずは 道具なしバージョンから始めて、続けられそうならスプーン・アイスの棒などを取り入れる のがおすすめです。

Q6. 専門書はどこで買えますか?

学研の公式サイトや、千葉テストセンター、Amazon・楽天ブックスなどで購入できます。第1巻〜第3巻まで揃えると 計1万円前後 とややお値段はしますが、 リハ専門職向けの本格的なテキスト なので、ご家族が独学で取り組む場合は 「まず第1巻だけ」 から始めるのが現実的かもしれません。お住まいの図書館で取り寄せできる場合もあります。

Q7. 専門家に習える場所はありますか?

MTPSSEを取り入れている リハ特化型デイサービス・通所リハ・訪問リハ が、徐々に増えてきています。 言語聴覚士(ST)が常勤しているリハ特化型デイ であれば、 MTPSSE系の抵抗運動を個別リハで実施してもらえる可能性が高い です。お住まいの地域で探すには、 介護サービス情報公表システム(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/ で「言語聴覚士配置」「機能訓練特化型」で検索すると見つけやすいですよ。

【記事下】より詳しい情報・関連記事

「もっと詳しく知りたい」「専門家に相談したい」という方は、以下も参考にしてみてください。

関連記事

まとめ|「5秒キープ」を生活の中に

最後に、改めてお伝えしたいこと。

  • MTPSSE(正しい綴り)は、西尾正輝先生考案の発話・嚥下の運動機能向上プログラム
  • 基本は「5秒キープの抵抗運動」。等尺性収縮で口の筋肉を効率よく鍛える
  • 最大筋力の60〜80%、5秒キープが目安。続けやすさが結果につながる
  • 自宅ではアイスの棒・スプーン・指で代用可能
  • パタカラ・シャキア・LSVT®などと組み合わせて使うのが理想
  • 痛みが出たら中止。認知症・急性期は専門家相談を

「最近、親の声が小さくなった」「むせるのが心配」と気づいたタイミングが、 始めどき

特別な道具がなくても、 1日5分の「5秒キープ」を、毎日の歯みがき後・食前に組み込むだけ で、口の機能は少しずつ守っていけます。

私自身、現役STとして利用者さんと向き合うたびに、 「続けてきた人の口は、ちゃんと答えてくれる」 と感じています。

迷ったときは、 お住まいの地域のST・リハ特化型デイ・かかりつけ医 に、いつでも相談してみてくださいね。


【参考にした情報】

※本記事は現役言語聴覚士(ST資格保有・臨床経験9年・現在もリハ特化型デイサービス勤務中)うめあかりが、公的データ・学術情報・現場経験をもとにまとめた一般的な情報提供記事です。個別の医療判断・診断に代わるものではありません。症状や治療方針については、必ず医師・言語聴覚士に直接ご相談ください。本記事の内容をもって生じたいかなる結果についても、責任を負いかねます。

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